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歩道、道、小道、閉路、回路の定義

グラフ理論の用語の定義は人によって揺れがあります。些細な差ではなくて、まったく異なるものを指していることがあります。。例えば、Wikipediaの閉路の記事は以前「閉路(英:cycle, circuit, closed walk)」となっていました。cycle, circuit, closed walk は全て異なるものだと思います。僕が思う歩道、道、小道、閉路、回路、オイラー小道、オイラー回路の定義は次の通りです(厳密ではないですが、ご容赦ください):

  • 歩道(walk)
    • グラフ上の頂点と辺を交互に並べた列 \(v_0e_0v_1e_1\ldots e_{k-1}v_{k-1}\) s.t. \(e_i=\{v_i,v_{i+1}\}\)。グラフではない。
  • 道(path)
    • 同じ頂点を2回以上通らない歩道(からなる部分グラフ)。
  • 小道(trail)
    • 同じ辺を2回以上通らない歩道(からなる部分グラフ)。
  • 回路(circuit)
    • 閉じた小道。
  • 閉路(cycle)
    • 始点・終点以外で同じ頂点を2回以上通らない閉じた小道。
  • オイラー回路
    • 全ての辺を丁度一回通る回路
  • オイラー小道
    • 全ての辺を丁度一回通る小道

図書館に行き、これらがどのように定義されているか調べました。図書館にある本は全部見ましたが、逆に言うと、ない本は分かりません。下記の8冊です:

[1]数学小事典第二版増補, [2]最短経路の本, [3]グラフ理論とフレームワークの幾何, [4]グラフ理論入門:基本とアルゴリズム, [5]やさしく学べる離散数学, [6]応用事例とイラストで分かる離散数学, [7]ヴァン・リント&ウィルソン 組合せ論, [8] R. Diestel. グラフ理論

上で定義した用語がどのように呼ばれているかは次の通りです。異なる呼ばれ方をしている部分は赤色にしています。ネットの記事に比べれば少ないですが、揺れはあります。ですが、何となくコンセンサスは見えるんじゃないでしょうか。

  • 歩道(walk)
    • [1]歩道、[4]歩道、[5]歩道・経路、[6]歩道・経路、[7]歩道、[8]歩道
  • 道(path)
    • [1]道、[3]パス、[4]道、[5]道、[6]道、[7]単純道(注釈:「基本通路」という用語が使われることがある)、[8]道
  • 小道(trail)
    • [3]小道、[4]小道、[5]小道、[6]小道、[7](注釈:テキストによっては「道」の代わりに「単純通路」や「小道」ということもある)
  • 回路(circuit)
    • [1]回路、[3]回路、[4]回路
  • 閉路(cycle)
    • [1]閉路、[2]閉路・サイクル・回路、[3]閉路・サイクル、[5]閉路、[6]閉路、[7]閉単純道、[8]閉路
  • オイラー回路
    • [1]オイラー回路、[3]周遊路・オイラー回路、[4]オイラー回路(注釈:慣習上オイラー閉路と呼ばれることがある)、[6]オイラー閉路、[7]オイラー閉路、[8]オイラー周遊
  • オイラー小道
    • [2]オイラー小路、[3]オイラー小道、[4]オイラー小道、[5]周遊小道・オイラー小道

Y.Yさんから「歩道(walk)は散歩や歩行という訳を当てるべきだと思う」と言われて、確かにと思いました。この walk は random walk の walk っぽいです。

Published in データ構造

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